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高畑勲展に行ったら涙腺が崩壊した話。


どうもこんにちは、気づけば1か月近くブログを更新していなかった、井中まちです!

そうですね、原稿がやばいからですね!

でも私の手元にはいろんな展覧会やイベントのチケットがいっぱい!なんでだろう?SF(すこしふしぎ)です!!

というわけで7月に入ってからは毎週のように東京という大都会へ繰り出すことになっているんですけれども!!ハイ!!その記念すべき第1週目に行った展覧会の話をしたいと思います!!

 

題して!!!!

 

高畑勲展のしんどいがすぎる。

 

これだよ……ほんとこれ……

高畑勲監督といえば、言わずと知れた日本アニメーション界のレジェンド。

 

『アルプスの少女ハイジ』(写真は唯一撮影可だったハイジの家などを再現したジオラマです。山の下の町とかまで作ってあった!)や『赤毛のアン』などのテレビアニメシリーズのほか、スタジオジブリ映画『火垂るの墓』や『平成狸合戦ぽんぽこ』、遺作となった『かぐや姫の物語』などがとくに有名ですね。

 

アニメーション監督、という呼び方が一般的ですが、個人的には「アニメーション作家」と表現したほうがふさわしいのではないかと思っています。

まあそんな私のたわごとはどうでもいいんですけど。

 

昨年(2018年)4月、多くの人に惜しまれながらこの世を去った高畑監督の、ものすごい規模と密度を誇る回顧展がこちらの高畑勲展です。

 

もうね。

やばかった。

なにがやばいってまじやばかった。

 

行く前から泣く気はしてたんだ。

だってめっちゃ憧れなんだもん、高畑さん。尊敬しまくりなんだもん。大好きなんだもん。

その、高畑さんの、「絵を描かないアニメ監督」の、膨大な量の手書き資料とか構想ノートとかスタッフとのやり取りとか、生で見られるんだもん。

その熱意が、熱量が、眼差しが、愛が、この目で見られるんだもん。

 

死ぬかと思ったよね。

 

まあそんなわけで、というかどんなわけでか自分でもよくわからないんですけど、とにかくこみ上げちゃってこみ上げちゃって、展示を見ていた4時間半の間に私は5回ほど涙を流しました。

 

完全に不審者でした。

 

周囲で展示をご覧になっていた方はさぞ驚かれたことでしょう。すみませんでした。まじで。

まあここはひとつヨーゼフで心を落ち着けていただいて……

 

で、ですね。いやほんとすごかったんですよ。

待って落ち着けない。私落ち着いて。ちゃんと説明して。ヒッヒッフーヒッヒッ……ヒィェェエエエエエ!!!!

 

あのねぇ~私ねぇ~昔はぜんっぜん高畑さんのことわかってなくてねぇ~(というか今でもわかってないと思うんですけどね。凡人が理解できないから天才なんだ)、ジブリ=宮崎駿監督だったし、なんか宮崎監督作品じゃないのがあるのは知ってたけど、それらは全部格下、みたいな非常に失礼っていうかテメェなめてんのかって感じのことを思っていたわけですよ。

むしろ宮崎監督を育てたのが高畑さんなのにね。

あとまあ世代的にハイジとかリアルタイムで観てなかったしね。そのすごさがいまいちわかっていなかったというか。

だってほら、ちっちゃい子にトトロと火垂るの墓どっちが好き?って聞いたら絶対トトローーー!!って答えるでしょ?ちなみにこの2作、公開当時は同時上映だったんですよ恐ろしいことしますよね。

たぶん初めて観た高畑監督作品が火垂るの墓だったと思うんですよね。小学校低学年くらいだったのではないかと思います。金曜ロードショーだったよねたぶん。

まあ素直に泣きましたよねそのときは。怖いし。めっちゃ怖いし。かわいそうだし。

少し成長すると今度は「あ~〈泣かせ〉映画ね~。そういうの興味ないんだよね~」と的を外しまくったことを言って敬遠していました。バカか。お前はバカか。恥を知れ!!バカ!!

平成狸合戦ぽんぽことおもひでぽろぽろを初めて観たのもそのころだったかなぁ。

ぽんぽこは「あ~〈自然を守ろう〉っていう安直な(以下略)」とか言ってこれまた敬遠していました。バカ!!!!おもひでぽろぽろに関してはオトナすぎてちょっと意味がわからなかった。つまりつまんねーなと思っていた(けど映像がやけに頭に残っていたし、ところどころシーンもばっちり覚えていたのはやはり高畑監督のすごさなんだと思います)。

ハイジとか赤毛のアンとかは知らぬ間に観てた。昔ってわりとアニメの再放送とか多かったですよね、たぶんそれで。あともしかしたら学校で観たのかもしれない。

で、ですよ。

大人になってからですよ。私が高畑監督のすごさをやっと認識したのは。

20代前半の夏だったと思うんですけど(あ、私は現在15歳の美少女です)、なんか急に「ぽんぽこが観たい!」ってなりましてね、TSUTAYA行ったんです、TSUTAYA。で、借りたんです。

衝撃を受けましてね。

え、まって、この映画シニカル極まってんだけど。ってね。

「自然を守ろう!」なんてことが言いたい映画じゃなかった(それもあるにはあるんだろうけど)。これは狸を通して描かれた人間の姿だ。

感動しましたね。

あと純粋にアニメーションとして面白いですよね。演出が神がかってる。

それからはもう「アイラヴTAKAHATA」になりまして、火垂るの墓やおもひでぽろぽろなんかも目当てにTSUTAYAへGOしました。

火垂るの墓、あれはやばい。あれもシニカル極まってる。シニカル極まりつつ、そこにあるのは確かに人間への愛なんですよ。そして次世代へ繋いでいこうという強い意志。

泣かせ映画なんかじゃなかった。反戦映画に見えるけど、そうでもない。ただただ、そこに描かれているのは「人間」なわけです。それも等身大の。誰もがそうなり得る。これが平静でいられるかってね。

おもひでぽろぽろもいいよねー!あれはもうほんと、いいよね……しみじみいいよね……。映像もすごいんですよね。現代篇と過去篇でがらりと変えてある。それがリンクして静かに展開していく「いま」という時間。そしてその先の未来。最高か。最高かよ。

 

とまあこんな感じで、私が主に触れてきたのはスタジオジブリ制作の高畑監督作品なわけですが、こんなにわかでも人目をはばからず泣いてしまうほどのものが高畑勲展にはあるわけです。

太陽の王子ホルスの大冒険とかも観たいですね。映像の一部が展示されてたけど、あれもやばかったな。高畑演出やばすぎるな。

もう全部観たいよ高畑さん!!!!

そういえばドラえもんのアニメ化に高畑さんがものすごく貢献したってみなさんご存じでしたか……わたくし恥ずかしながら存じ上げませんでした……

 

で、あの、回顧展なんで、やっぱり古いものから新しいものへとこう展示も移り変わっていくわけなんですけれども、そうなると最後に出てくるのはもちろん遺作となった『かぐや姫の物語』なんですよね。

あのー、かぐや姫の物語をご覧になったことのある方ならお分かりいただけるかと思うんですけど、もうさ。そんなん泣くしかないやん。

でね。これ展覧会のネタバレになってしまうかもしれないんですけど、かぐや姫がいかに最初期から高畑さんの中にあったかっていうのがね、展示を見てればわかるんですよ。この!!演出!!展覧会自体の演出が!!憎い!!!!

ていうか全体的にすごくよかった。展示の仕方も。しっかり細部まで見せてくれるし。

ああ~やっぱり創作者って基本的にずっと同じ思いを持ち続けているんだなぁってすごく思ったんですよね。表現の方法は変わっていくかもしれないけど。それがすごくうれしかった。

私も創作者のはしくれのはしくれですから、そりゃ「どうしても表現したいもの」っていうのはあるわけです。それをずっと持ち続けているわけです。でもたまに、昔から全然変わらないな、自分。成長しないな、って、思ってしまったりするんです。

そうじゃないんだな!!!!いいんだなそれで!!!!それだけ強い思いがあるんだから表現し続ければいいんだな!!!!

でさー、ほんとこれ、あのさー、高畑さんのこの人生があって、最後に生まれたのがかぐや姫の物語なんだなって思うと、ほんと……

あの映画ほんとすごいじゃないですか!?革新的な映像はさることながら、内容!!演出!!込められた熱!!!!

竹取物語をあそこまで忠実にアニメーションにしておいて、なんだあの面白さは!!??感動は!!??おかしくない!!??すごすぎない!!??

で、しっかり現代に生きる人々へ向けての映画になってるわけじゃないですか。なんかだってもうアレじゃん、もうあの映画人生じゃん。人生そのものじゃん。

私はこう、どこがどう、とか言えないんですけど、あんなに胸を打つ作品がなぜ作れるのか、と、ほんと……あ、ちなみにかぐや姫は映画館で観たんですけど、あまりにもすごすぎてあふれる涙も拭わず放心状態で席を立ちましたよね。そして気づけばわらべ歌を口ずさんでいましたよね。完全にやばい人でしたね。

本当になんで高畑さんはあんなにも「人間」を描けるの……??もうやだ……本当に好き……胸が苦しい……

 

まあ素人なりの考えとしては、やっぱりそれは「愛」によるものなんじゃないかな、と思います。

シニカル極まってるのも、裏を返せば痛烈なほどの人間への愛があるから。アニメ界に革新を起こしたのは、アニメという表現方法への並々ならぬ愛があるから。時に原作とは異なる構成へと大胆に変更を加えるのも、原作への愛とリスペクトがあるから。

関係者の方々のインタビュー記事や映像なんかを見る限りでは、高畑さんは決して人格者とは言えなかったそうです。むしろ、あんなおかしい人は他にいない、みたいなことも言われてました。

でも、そのくらいじゃないと真の表現はできないんじゃないかと思うんですよ。あとその前情報があっても、展示を見るといろいろな人々とのあたたかい交流や、愛情や、才能のぶつかり合いなんかが見えてきて、なんか、もう、だから、泣くんだって。な?????

だってどうしたって、高畑さんが手がけた作品からはいろんな愛が見えてしまうんですもの。私は作品から伝わってくるものが「その人」なんだと思っています。

作品は取り繕うことなんて絶対にできないから。

もうなんか何の話してたんでしたっけ??高畑勲展??ああ、よかったよ、すばらしかったよ。行くといいよ。そして泣くがいいよ!!!!

 

もうさぁ、こんなさぁ、おっそろしい才能持っててさぁ、なおかつこんなに真摯にまっすぐに作品作りに打ち込んでさぁ、人間を見てさぁ、愛してさぁ、伝えようとしてさぁ、さらに未来を見据えるクリエイターなんてさぁ……尊敬するしかないじゃん!!!!!!!!

アアーーーーーー私もそんなクリエイターになりたいよぉおおおおおお!!!!!!!!いやもうなんかだから、プロになりたいとかそういうことじゃないんだよ!!!!!!!!私は私として一生表現していきたいんだ!!!!!!!!高畑さんみたいに!!!!!!!!!!でも凡人だから高畑さんの真似はしない!!!!!!!!っていうかできるか!!!!!!!!!!!凡人は凡人なりにこれからもやっていきます高畑さん!!!!!!!ありがとうございます!!!!!!!!!本当にありがとうございます!!!!!!!!!!!

 

まあとにかく、展覧会のことは結局なんにも伝えられませんでしたが、何かしら創作活動をしておられる方なら絶対に胸打たれるものがあると思います。

機会があったらぜひどうぞ。

あとあのガンダムの生みの親・富野由悠季監督(当時は富野喜幸名義)のお名前がとある作品の絵コンテの表紙にしれっとあったんですけど、解説とか一切なかったのであれに気づいた方はぜひご報告をお願いします。握手しましょう。

あーあとあと、ユーリー・ノルシュテインの直筆メッセージ入りイラストとかもあったので興奮する人はおおいに興奮しましょう。

あ、この展覧会、グッズのセンスがおそろしくいいのでお気をつけください。

私は図録だけを買うつもりで行ったのに、気づいたらKO☆NO☆ZA☆MAでした。

(ちなみに図録・ノート・マッチ箱風パッケージ入りのお茶・しおり2点で約4000円でした。このくらいなら実質タダです。紙袋まで凝ってるし。ていうか図録2300円なんですけどなにそれ安すぎるこの内容でそれはほんとに実質タダとしか言いようがないんですけどいいんですかまじでありがとうございます!!!!)